[Special Talk]住まいの断熱性向上が求められている時代。

住宅への適用も検討されている「省エネラベリング制度」。

前回の「省エネ基準改正」の際にもお話した通り、国はいま、あらゆる方面から省エネルギーを推進し、環境保全のためにCO2を削減しようとしています。その具体的な動きの1つが前回ご紹介した省エネ基準の改正ですが、それ以外にもいくつか注目すべき動きがあるので、今回はその内容について触れたいと思います。

皆さんは「省エネラベリング制度」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?

この制度は、2000年8月からJIS規格として導入されているもので、エアコン、テレビ、冷蔵庫などの家電製品やガス石油機器などが、国の定める目標値(トップランナー基準=省エネ基準)をどの程度満たしているのか。その達成度合い(%)などを「省エネラベル」によって分かりやすく表示したものです。

この省エネラベルには4つの情報が表示されています。1つ目は省エネ性マーク。このマークにはグリーンとオレンジの2種類があり、グリーンは国の目標値を達成している製品であることを、オレンジは未達成の製品であることを示しています。2つ目は省エネ基準の達成率で、各製品の省エネ性能が目標値に対してどの程度であるかを具体的な数値(%)によって表示。同じグリーンの省エネ性マークでも、数値が大きい製品ほど省エネ性能に優れていることを表しています。さらに3つ目として、省エネ基準の達成時期を「目標年度」として表示、4つ目として製品ごとの「エネルギー消費量」を数値で表示しています。

今回の内容でいちばん重要なことは、この「省エネラベリング制度」のような表示の仕組みが、いずれ住宅にも適用されるということです。省エネラベル現在国では2010年度からの導入を目標に検討を進めていますが、この制度が住宅に導入されればより高度な断熱性能が求められてくることは間違いありません。もちろん、断熱業界にとっては追い風となる制度ではありますが、一方でより優れた製品や施工が必要とされてくることも、忘れてはいけないと思います。

「長期優良住宅先導的モデル事業」の推進。

今回のもう1つのテーマが、平成20年度から国土交通省がスタートさせ、21年の2月から3月にかけて第1回目の提案募集が行われた「長期優良住宅先導的モデル事業」についてです。

この事業は、「高品質な住まいをつくってきちんと手入れを行い、長く大切に使う」というストック社会のあり方について、具体的な内容をモデル住宅によって広く国民に提示し、さらなる技術の進展とともに普及啓発を図って行くことを目的としています。このような観点から、住宅の長寿命化に向けたモデル事業の提案を国が公募によって募り、優れた提案に対しては事業の実施に必要な費用の一部を補助していくというものです。

ちなみに、戸建て住宅1棟に対して最高200万円までの補助金が出ることになっていますが、それを獲得するためにはバランスの良い高品質住宅を実現することが不可欠で、当然のことながら優れた断熱性能も求められることになります。その点では、断熱業界にとって、「省エネラベリング制度」と同じような効果が期待できるのではないかと思います。

今後も時代の流れとともに、「省エネ」「環境」に関わる性能が住宅の世界でも重視されてくることは間違いありません。EUに比べると日本の省エネに対する取り組みはまだ遅れているので、住宅の断熱性についても今後ますますニーズの高まりが予想されると思います。

このような時代の流れに迅速に対応していくこと。それが、これからの断熱業界に求められる変化かもしれません。今後、メーカーにはより高品質な断熱材の開発が必要になり、施工側には断熱材の性能を100%発揮させる正確な施工技術が、今まで以上に求められてくると思います。

※Vol.4は、2009年5月下旬の発行予定です。

プロフィール

坂本雄三
(さかもと・ゆうぞう)
1971年、北海道大学理学部卒業。78年、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程を修了し、建設省(現・国土交通省)建築研究所に入所。90年名古屋大学工学部助教授、94年東京大学助教授を経て、97年より現職。専門は建築環境工学で、特に熱環境、空調システム、省エネルギーなどの分野に精通している。国土交通省社会資本整備審議会専門委員、東京都環境影響評価審議会委員なども務めている。