繊維の構造や発ガン性リスクが違います。天然の結晶性鉱物繊維であるアスベストは1ミクロン以下の極めて細い繊維の束で、
壊れると細く長い繊維に裂けてしまいます。世界保健機関(WHO)の定義によると、肺の内部に吸入される吸入性繊維とは、
「直径が3ミクロン以下、長さがその3倍以上のもの」であるため、容易に肺胞にまで到達してしまいます。
またアスベストは、体内の免疫機能に対する耐性が強く、排出されずに多年にわたり体内に滞留し、
さまざまな病気を引き起こす原因となります。
国際ガン研究機関(IARC)は、アスベストを発ガン性物質として最もリスクの高いグループ<1>(ヒトに対して発ガン性のある物質)
に分類し、ニコチン・タールなどと同レベルの評価をしています。
一方、グラスウール繊維の直径は4~8ミクロンあり、肺に入り込みにくく、肺に吸入されても体液に溶けて短期間で排出されます。
IARCの分類ではグループ<3>(ヒト発がん性に分類し得ない物質)と評価され、グラスウールの安全性はお茶などと
同レベルとしています。
また、最近になって、IARCはホルムアルデヒドのガンの危険度をグループ<2A>(ヒトに対しておそらく発ガン性あり)から、
グループ<1>(ヒトに対して発ガン性あり)に変更しましたが、グラスウールの安全性はほとんど変わりません(*)。
グラスウール製品は、バインダーの成分としてホルムアルデヒドを用いますが、製造過程でこれらは高温で熟成・安定化し、
ホルムアルデヒド成分は実質的にほとんど製品には残りません。
事実、グラスウール製品は全て建材の中で最もホルムアルデヒド放散量の少ないF☆☆☆☆にランクしています。(**)。
F☆☆☆☆の製品は、建材の中でもっともホルムアルデヒド放散量が少なく使用制限がありません。
*変更の根拠となったデータとは、数十年前の欧米でまだホルムアルデヒドを大量に製造、或いは使用する作業現場が非常に劣悪な環境であった頃、
そのような職場でホルムアルデヒドを大量に吸入してきた作業者の中で、極まれに発生した症例が根拠になったものです。
その当時でも、製品から放散されたホルムアルデヒドによる症例は発生していません。
** 我が国では2003(平成15)年7月1日より、建築基準法令などの改正によりホルムアルデヒド放散建材の使用規制が施行されており、これらの建材を最大限に使用してもWHOが定めた環境基準(住宅居室内空気中のホルムアルデヒド濃度)0.08ppm以下になるものがF☆☆☆☆など級のものです。
グラスウールは、住宅用断熱材として安心な素材です。
グラスウールには、ガラス繊維同志の結合剤(バインダー)として熱硬化性樹脂(フェノール系樹脂)を使用しています。
その樹脂原料の中にホルムアルデヒドを使用していますが、理論的には、原料の化学反応によりこれら全て重合体に取り込むことで、
ホルムアルデヒド単体として発生する事はありません。実際には化学反応の工程において、ホルムアルデヒドの残存がありますが、JIS規格による管理下でF☆☆☆☆を実現しています。
実際に住宅を建て、屋内空気質を測定したところホルムアルデヒドは検出されませんでした。
実際に化学薬品を極力使用しない他の建材と共に、グラスウールを断熱材として使用した住宅を建て、
屋内空気質を測定したところホルムアルデヒドは検出されませんでした。実験の方法は以下の条件で行いました。
下記仕様の(a)1階及び2階の天井懐部、(b)2階間仕切壁の内部、(c)小屋裏、の各空気中のホルムアルデヒド濃度を測定した結果、
0.01ppmまで測定可能な検知管でもホルムアルデヒドは検出されませんでした。
(福岡大学建築学科測定:建材仕様)(ホルムアルデヒド発散による区分)
熱伝導率(単位:W/(m・K))は、熱の伝わりやすさを示す値で、数値が大きいほど熱が伝わりやすいことになります。グラスウールで扱う熱伝導率には測定平均温度25℃と70℃があり、それぞれ値が異なりますから他材と比較する場合注意が必要です。
また、断熱性能は、熱抵抗値(単位:㎡・K/W)で判断するのが、一般的です。この数値が大きいほど熱を伝えにくいことになります。材料の厚さの影響が大きく熱抵抗値は、グラスウールの厚さをその熱伝導率で除して求められます。
熱抵抗値(R)=部材の厚さ/熱伝導率(λ)
高性能グラスウールは通常のグラスウールに比べて繊維径が細い特徴を持っています。通常のグラスウールの繊維径は7~8ミクロン、高性能グラスウールの繊維径は4~6ミクロンです。高性能グラスウールは繊維径を細くすることで、通常のグラスウールに比べて静止空気室を細分化することにより高い断熱性能を発揮することができます。
断熱材の種類と熱伝導率(測定平均温度25℃)
住宅用グラスウール断熱材10K相当 ― 0.050 W/(m・K) ― GW10K と表記
住宅用グラスウール断熱材16K相当 ― 0.045 W/(m・K) ― GW16K と表記
住宅用グラスウール断熱材20K相当 ― 0.042 W/(m・K) ― GW20K と表記
住宅用グラスウール断熱材24K相当 ― 0.038 W/(m・K) ― GW24K と表記
住宅用グラスウール断熱材32K相当 ― 0.036 W/(m・K) ― GW32K と表記
高性能グラスウール断熱材16K相当 ― 0.038 W/(m・K) ― GW16KHG と表記
高性能グラスウール断熱材24K相当 ― 0.036 W/(m・K) ― GW24KHG と表記
高性能グラスウール断熱材32K相当 ― 0.035 W/(m・K) ― GW32KHG と表記
グラスウールが使用される環境はさまざまなことから、極端な環境での使用に際しては事前に評価検討をする必要があります。
JIS規格ではグラスウールの特性として、熱間収縮温度として一定の荷重をかけた状態で温度をかけて行き、厚さが10%収縮するときの温度を規定しています。この温度が最高使用温度の目安の一助となりますが、使用される環境が多種多様のため実務上での最高使用温度と同じとはいえない場合があります。
JISA9504で規定する熱間収縮温度
保温板24K ― 250℃ 以上
保温板32K ― 300℃ 以上
保温板40K ― 350℃ 以上
保温板48K ― 350℃ 以上
保温板64K ― 400℃ 以上
保温板80K ― 400℃ 以上
保温板96K ― 400℃ 以上
かさ比重は、単位体積あたりの重量で、特に水(1000kg/m3)と比べた値となります。
一般的にグラスウールは密度表示されておりますが、かさ比重は、この密度数値が水と比べてどの位かの値で表示されます。
例) グラスウール32kg/m3 → 32÷1000=かさ比重0.032
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